今慈ムジナ 『年下寮母に甘えていいですよ?』 (ガガガ文庫)

年下寮母に甘えていいですよ? (ガガガ文庫)

年下寮母に甘えていいですよ? (ガガガ文庫)

「私はこの日和寮の寮母さん。九段下あるてと言います。おかーさんと呼んで下さい」

たったひとりの肉親だった祖父を亡くし,アパートを追い出されることになった高校生の四ノ宮優斗.次の住まいを探していた優斗の前に,中学生にしか見えない自称おかーさん,九段下あるてが現れる.あるては自身が寮母を勤める高校の学生寮に住むようにと提案する.

両親と祖父を亡くし,誰にも頼らず生きることを是としてきた高校生と,誰も彼も甘やかさずにはいられない謎の少女(おかーさん)がひとつ屋根の下で邂逅してしまう.デビュー作『ふあゆ』(感想)以来の二作目.ハシビロコウの頭を持つ殺人鬼の話から作風をガラリと変えて……と思いきや,実はそれほど変わっていないのかもしれない.後半は思いがけない方向にかっ飛んでいった.ラブコメでキャラクターの言動が噛み合わないのはまあそういうものだけど,理由付けは一風変わったものだと思う.ただ,それがわかるまでのテキストが全体的に固くて読みにくいし,わかったところで変な気持ち悪さしか残らないような.個人的には今ひとつでした.