小川一水 『天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1』 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA)

天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA)

「2PAにできることもお目にかけたことですし、そろそろお話ししてもよろしかろう。――我々がどうやってほとんどのものを失い、それからこの巨大な殺戮艦隊が、どうやって我々を手に入れたのかということを、ね」

そして彼は、もうひとつの三百年の物語を始めた。

西暦2804年,数百年に渡るヒトの物語が決着する.三ヶ月連続刊行の完結篇PART1.九巻14冊を費やして語られてきた数百年,数千年分の伏線が掘り起こされ,ラストに向けてひとつの歴史が綴られる.そういう意味だったの!? だとか,今さらそれ!? みたいな仕掛けがここに至って次々と出てくるのがすごい.与太だと思っていたPPCISM(ピピシズム)(無限階層増殖型支配型不老不死機械娼像)(ピラミッドスキーム・プロパゲーティング・アンド・コントローリング・インモータル・セックスマシン)にちゃんとした意味があったのが個人的にいちばん驚いたこと.