「――単純に、悪い王様で、あったなら」
それはとても、哀しげな声で、
「いっそ、どんなに良かったであろう」このときの彼女の顔は、ああ、なんて言ったらいいだろう――ひどく苦しそうで、切なそうで、そう、なんだか、叶わぬ初恋に身を焦がす少女のように――
かつて「大魔術時代」とも呼ばれる栄華を誇った魔術師は、
「――単純に、悪い王様で、あったなら」
それはとても、哀しげな声で、
「いっそ、どんなに良かったであろう」このときの彼女の顔は、ああ、なんて言ったらいいだろう――ひどく苦しそうで、切なそうで、そう、なんだか、叶わぬ初恋に身を焦がす少女のように――
かつて「大魔術時代」とも呼ばれる栄華を誇った魔術師は、