しめさば 『きみは本当に僕の天使なのか2』 (ガガガ文庫)

「指切り……」

「げんまん」

「嘘ついたら……殺す」

「うん、殺されてあげる」

“伝説のライブ”をやり遂げた“完全無欠のアイドル”、瀬在麗。次の目標に、かつてのペアユニット「ripqle」を再結成したい、という麗のため、優羽はアイドルを引退した真島杏樹を説得することになる。「私は……本当は、アイドル業界から逃げたんじゃないんだよ。麗ちゃんから……逃げたんだよ」。

あるアイドルの引退と復帰、コンビ再結成。各々の心情を丁寧に追って描いた結果、良質なモキュメンタリーのような読み心地になっている。それぞれにコンプレックスを抱えつつ、ちゃんと大人の立場から、お互いのことを考えて動いている。テーマに反して、人間への信頼が描かれている、というか。解散したユニットの過去の出来事や、レッスン中のちょっとしたエピソードが、ラストに至ってちゃんと意味を持つのが、パキパキとはまっていく感覚があって、読んでいて気持ちよい。クライマックスのライブはまさに集大成だった。

それと、元アイドルの真臣アンナの存在感。オタクに優しい○○シリーズの、極北に近い位置にありながら、女性恐怖症の主人公を導く存在として、理想的な立ち位置にいる。存在感が反則的に強い、というかズルい。ガガガ文庫なのに登場人物一覧がないのは意図的なものだったのかな? とにかく本当に良いものでした。



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