二語十 『探偵はもう、死んでいる。11』 (MF文庫J)

「そういうわけじゃないよ。彼の罪を庇うつもりも毛頭ない。でも、ここであたしたちが彼を殺すことは正義じゃない」

渚は一歩も引かず、こう主張する。

「正義って多分、これからの未来を考え続けることだから」

《虚空暦録》(アカシックレコード)の真実に触れた君塚たちは《連邦政府》に召喚される。未来視に予言された新たな世界の危機、《大災厄》。今までにない危機を前に、《特異点》たる君塚君彦は究極の選択を迫られる。

「私たちは、最後のその一瞬まで正義であり続けよう」

悪から生まれる人々と世界を前に、英雄は疲弊し、正義の味方は孤独を抱える。そのままMCU編に突入してもおかしくなさそうなシリーズ11巻。いいと思ったものを全部ごちゃっと詰め込んだかのような、小さくまとまる気のない気概を感じられる。勢いをそのまま完成させられたら、稀に見る大作になる予感はある。突っ走ってほしい。