私とユカリの関係は、「二人で花壇を育てていこうね」といった温かい感じのものではなくて、自分たちを取り囲む敵兵を全て射殺するときに必要とされる類のものだった。それだけ得がたい存在だったとも言える。戦場で背中を預けられる相手なんて、そうそう見つかりはしない。友情と言ってしまうには、何かが大きく違いすぎたと思うけど。
カクヨムWeb小説短編賞2023・短編小説部門円城塔賞受賞の表題作を含む、約八編の短編集。あるふたりの関係に焦点を当て、その距離をじっくりと描いた小説が多いと言えるのかな。他に共通する点といえば、なんと言ってもテキストの触り心地が良い。理と情のバランスが取れた、切なさの混じるテキストが本当に良かった。周囲のすべてを嫌っていたふたりの高校生の反抗とその後を描く「純粋個性批判」と、二人暮らしがもたらした孤独を描く「新しい孤独の様式」、若くして命を落とした私と、196歳になってなお美しい叔母の関係を描いた表題作「レモネードに彗星」が特に好きです。
