久住四季 『七花、時跳び! Time-Travel at the After School』 (電撃文庫)

七花、時跳び!―Time‐Travel at the After School (電撃文庫)

七花、時跳び!―Time‐Travel at the After School (電撃文庫)

四月十日。月曜日。晴れ。
その日、後輩の七花蓮が、階段の上から僕めがけて落ちてきた。

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ある放課後.未来研究会の後輩である七花が,何の前触れもなくタイムトラベルが出来るようになったらしい.経緯は不明だが,こんな面白い能力があるなら使ってみなけりゃ損じゃない!
「放課後の時間旅行」のタイトルが示すとおりの(?),ものっそカジュアルなタイムトラベルストーリー.肝はタイムトラベルの作中での使われ方,かな.便利で万能な飛び道具を用意しておきながら,特に制約がなく,しかし大きな事件には発展せず,当たり前の結論を導き出すための道具に留めておく,という.原理の解明なんかももちろんなし.過去の自分とか恥ずかしくて見てらんない,という感覚がちょっと面白いけど,時間 SF 的なものを期待すると肩透かしを食らうことは間違いない.
タイムトラベルものへのオマージュがいくつも散見されるのだけど,分かる範囲で見た感じ,大半が 21 世紀に入ってから著されたものになるのかな? 章題に使われる「ウィンター・タイムマシン・ロックス」のセンスは好きだな.タイムトラベルの使い方といい,このあたりのチョイスといい,分かってやっているんだろうなあ.非常に上手く噛み合って「等身大」の物語を作り上げていた.キャラクターも元気でなにやら妙に可愛らしい.食い足りない部分も正直あったけど,楽しませていただきました.