八目迷 『ミモザの告白2』 (ガガガ文庫)

「どうしてロミオとジュリエットは、二人とも死んじゃったんだと思う?」

衝撃的な事件の続いた一学期が終わり、夏休みが始まった。いつもと同じような、それでいて大きく変わったことに目を逸らしながら、続く三人の関係。そして二学期。成り行きで文化祭実行委員になってしまい、突然忙しくなる咲馬と夏希。咲馬たちのクラスは「ロミオとジュリエット」の劇をやることになる。

頭が痛い。自身の善性を根元から揺るがすような気づきが、今も、頭蓋骨の内側で大きな音を立てながら反響している。

俺は、一体なんなんだ。

いろいろなことから目を逸らし、問題を先送りにしながら時間だけが進む。危うい三角関係を描く青春小説の第二巻。幼馴染のためにやった行動は、本当に相手を思いやってのことなのか? 言葉にしなければ何もわかりあえない、本当は口にすべきではないことが多々あるのではないか? 誰かの「普通」は、他の誰かの「普通」とは違うのではないか? ありふれたようで、一歩間違えたら壊れそうな危うさを、繊細な手つきで見事に綴った。物語のあまりの危うさに、ウザキャラもといトリックスターかと思っていた世良がいてくれてよかったとさえ思えてくる。本当に良い青春小説だと思います。

「一人よりも二人死んだほうが、物語として面白いからだよ」



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