災害にして鉱脈、それが『迷宮』の扱いを複雑にしている。
攻略にしろ共存にしろ、誰かしらを『迷宮』の中に派遣する必要がある。けれど、自前の兵隊を送り込めば、過去の二の舞だ。
その打開策が、専門家の育成と派遣だ。
迷宮都市
灰と混沌の迷宮都市、『迷宮』、滅んだ王国への旅路。ヒモのマシューと姫騎士アルウィンの物語第三巻。絶望的な二巻ラストからどう続くのかと思ったら、さらにもう一歩絶望的な状況を持ってくるとは……。名を馳せた姫騎士が凋落することが、迷宮都市にどのような影響をもたらすのか。『迷宮』と共存せざるを得なくなった社会の仕組みはどうなっていくのか。血のにおいを常に漂わせた、緊張感の途切れない語りでありながら、この世界のマクロな部分もミクロな部分も拾っていくのが楽しい。
国の復興をのため『迷宮』を探索していた姫騎士が、「迷宮病」で『迷宮』に入れなくなったことで本当に望んでいたものがわかった、というのがとても良い。あとがきで触れている通り、ちょっとご都合主義ではあるのだろうけど、楽しくて容赦のないWizardry風ファンタジー小説。皆も読もう。
kanadai.hatenablog.jp