2021-01-01から1年間の記事一覧

石川博品 『トラフィック・キングダム』

トラフィック・キングダム作者:石川博品Amazon 「もの作りの大半は地道な作業だ。やる仕事のすべてがクリエイティブなのは行きあたりばったりの詐欺師だけだぞ」先生は音もなく机に跳びのる。それでも僕はひとつひとつのことば、ひとつひとつの文に深い意味…

岬鷺宮 『日和ちゃんのお願いは絶対3』 (電撃文庫)

日和ちゃんのお願いは絶対3 (電撃文庫)作者:岬 鷺宮KADOKAWAAmazon そのとき――わたしの胸に意志が宿った。それまでのんびり生きてきたわたしが、初めて心から強く願った。――ゼロにする。この世の地獄を、完全に消し去ってやる。 「日和は――〈天命評議会〉を…

宇佐楢春 『忘れえぬ魔女の物語2』 (GA文庫)

忘れえぬ魔女の物語2 (GA文庫)作者:宇佐楢春SBクリエイティブAmazon 「そう。一個だけだと無害な呪いでも、ほかの何かと組み合わさるととんでもないことが起きる」呪いと、世界の繰り返しとか。呪いと、呪いとか。 理不尽な繰り返しの一日を乗り越え、未散と…

枯野瑛 『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#10』 (スニーカー文庫)

終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#10 (角川スニーカー文庫)作者:枯野 瑛KADOKAWAAmazon とん、と地を蹴って――直上の空へと、墜ちるようにして、飛ぶ。「…………ッ」高いところは、好きじゃない。怪我をした時のことを、大事な人たちに悲しい顔…

伊崎喬助 『董白伝 ~魔王令嬢から始める三国志~4』 (ガガガ文庫)

董白伝~魔王令嬢から始める三国志~ 4 (ガガガ文庫)作者:伊崎喬助小学館Amazon 「この蹄の音、忘れようがない」それまでうっすら聞こえていた音が蹄の音だと、趙雲もようやく気づいた。想像すらしなかった。こんな地鳴りじみた蹄音を立てられる馬がこの世…

ツカサ 『明日の世界で星は煌めく3』 (ガガガ文庫)

明日の世界で星は煌めく 3【電子書籍版限定特典SS付き】 (ガガガ文庫)作者:ツカサ小学館Amazon 「貫け」空気を裂く音と共に、加速された石が撃ち放たれた。ドバッと赤く弾ける屍人の頭。これまで何度も見た光景。グロテスクで現実味のない惨劇。――人間は嫌…

呂暇郁夫 『楽園殺し 鏡のなかの少女』 (ガガガ文庫)

楽園殺し: 鏡のなかの少女 (1) (ガガガ文庫 ろ 1-2)作者:呂暇 郁夫小学館Amazon 完璧を目指しなさい。淀みのない白。あるいは何にも染まらない黒のように。 はるか昔、この世界は砂塵に覆われた。人類に毒と異能ともたらした砂塵は世界を大いに荒廃させ、わ…

ピーター・トライアス/中原尚哉訳 『サイバー・ショーグン・レボリューション』 (ハヤカワ文庫SF)

サイバー・ショーグン・レボリューション 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:ピーター トライアス早川書房Amazonサイバー・ショーグン・レボリューション 下 (ハヤカワ文庫SF)作者:ピーター トライアス早川書房Amazon 「貴様の父上からよく言われた。味方の味方は味方…

カミツキレイニー 『魔女と猟犬2』 (ガガガ文庫)

かつての姉の美しさは、一輪の花に例えられた。北の雪原にありながら、情熱的に咲く赤い花だ。 魔女と猟犬 (2) (ガガガ文庫 か 8-12)作者:カミツキレイニー小学館Amazon「俺は魔女が欲しい。一人残らず、俺の前につれてこい」。火と鉄の国キャンパスフェロー…

松山剛 『僕の愛したジークフリーデ 第1部 光なき騎士の物語』 (電撃文庫)

僕の愛したジークフリーデ 第1部 光なき騎士の物語 (電撃文庫)作者:松山 剛KADOKAWAAmazon 「――単純に、悪い王様で、あったなら」それはとても、哀しげな声で、「いっそ、どんなに良かったであろう」このときの彼女の顔は、ああ、なんて言ったらいいだろう―…

菊石まれほ 『ユア・フォルマII 電索官エチカと女王の三つ子』 (電撃文庫)

ユア・フォルマII 電索官エチカと女王の三つ子 (電撃文庫)作者:菊石 まれほKADOKAWAAmazon 「こちらでの生活はいかがです? リヨンよりも過ごしやすいでしょう?」「確かにすごく過ごしやすいよ。もう四月だけれど変わらず寒いし、野菜は安いのに栄養ゼリー…

三月みどり 『きゅうそ、ねこに恋をする』 (MF文庫J)

きゅうそ、ねこに恋をする (MF文庫J)作者:三月みどりKADOKAWAAmazon この言葉がきっかけで始まったことがある。それは二つの恋物語だ。一つは王生匠真と姫野愛奈の恋物語。 そして、もう一つは――猫と鼠の恋物語。 学校一の美少女、桜宮雫は、社長令嬢の姫野…

二語十 『探偵はもう、死んでいる。5』 (MF文庫J)

探偵はもう、死んでいる。5【電子特典付き】 (MF文庫J)作者:二語十KADOKAWAAmazon だから今、私がまだここにいるのはあくまでも延長線。いや、蛇足だ。これは本来描かれる必要のなかったエピローグ。……だけど。それでもこの戦場に立つ限りは、この銃を再び…

髙村資本 『恋は双子で割り切れない』 (電撃文庫)

恋は双子で割り切れない (電撃文庫)作者:高村 資本KADOKAWAAmazon わたしの初恋は、かすかに煌めいていたのに、今はどろどろで、ぐちゃぐちゃで、どれだけ磨いても、もう光らない。胸の奥にある淀んだ池の中で、今も転がっている。 それは遺言なんかじゃなく…

斜線堂有紀 『コールミー・バイ・ノーネーム』 (星海社FICTIONS)

コールミー・バイ・ノーネーム (星海社 e-FICTIONS)作者:斜線堂有紀講談社Amazon 「好きになってくれてありがとうな」そういった琴葉の声が泣き出しそうだったことを、愛はいつまでも覚えている。呪いの話はここで終わりにして欲しかった。けれど、それはそ…

麻枝准 『猫狩り族の長』 (講談社)

猫狩り族の長作者:麻枝准講談社Amazon 「頼む、解放してくれぇ……」海中に膝を突き、両手を合わせ、懇願する。人知ならざるもの。天に座する神へ向けて。ここに居る人間なんて、まるで眼中にない。壮大な祈りだった。 自殺予防の監視手伝いとして自殺の名所を…

逆井卓馬 『豚のレバーは加熱しろ(4回目)』 (電撃文庫)

豚のレバーは加熱しろ(4回目) (電撃文庫)作者:逆井 卓馬発売日: 2021/05/08メディア: Kindle版 〈ジェス。たった一つの真実は誰のものでもない。それを知りたいと思うのは悪いことじゃないし、見えていることから真実に辿り着いてしまうのも悪いことじゃ…

森日向 『浮遊世界のエアロノーツ 飛空船乗りと風使いの少女』 (電撃文庫)

浮遊世界のエアロノーツ 飛空船乗りと風使いの少女 (電撃文庫)作者:森 日向発売日: 2021/05/08メディア: 文庫 じわりとフィンの目が潤み、大粒の涙がぽろぽろとこぼれ始める。彼女は声を上げて泣き始めた。その声は蒸気でぼんやりとした青空に吸い込まれてい…

赤城大空 『出会ってひと突きで絶頂除霊!8』 (ガガガ文庫)

出会ってひと突きで絶頂除霊! 8 (ガガガ文庫)作者:赤城大空発売日: 2021/03/18メディア: Kindle版 ジェーンが浮かべたそのドロドロの表情は、本当に本当に心の底から幸せそうな代物で――俺はそのとき初めて、女の子の蕩けた表情に恥ずかしさや気まずさでは…

浅倉秋成 『六人の嘘つきな大学生』 (角川書店)

六人の嘘つきな大学生 (角川書店単行本)作者:浅倉 秋成発売日: 2021/03/02メディア: Kindle版 たぶんだけど、この世で最も就活生が詐欺に遭いやすいと思うよ。本当の混乱期だから。あ、あれだ、詐欺っていうのも、懐かしいね。はは。やめようか、この話は。 …

漆原雪人 『異セカイ迷子の半透明とやさしい死神』 (星海社FICTIONS)

異セカイ迷子の半透明とやさしい死神 (星海社FICTIONS)作者:漆原 雪人,なつめえり発売日: 2019/07/16メディア: 単行本 もしも未来が、セカイが、言葉でできているのだとしたら……。では心はいったい何でできているのだろう。言葉だけでは言い表せないなら歌に…

安藤白悧 『悔い改めよ!ハーレム学園』 (講談社ラノベ文庫)

悔い改めよ!ハーレム学園 (講談社ラノベ文庫)作者:安藤白悧発売日: 2021/04/28メディア: Kindle版 この学園の掲げる基本理念は、『世界の垣根をなくす』ことである。五十年前、多数の「異世界」との交流がスタートしてから、今日まで、いまだに世界は種族の…

今慈ムジナ 『時をかけてきた娘、増えました。』 (ガガガ文庫)

時をかけてきた娘、増えました。 (ガガガ文庫)作者:今慈ムジナ発売日: 2021/04/20メディア: Kindle版 「ねえ、いつからが恋なんだろうね?」 清水大地はクラスメイトの安達藍に密かに想いを寄せる高校二年生。ある日、大地の部屋に突如開いたワームホールか…

旭蓑雄 『ヒロインレースはもうやめませんか?② ~新ヒロイン排除同盟~』 (電撃文庫)

ヒロインレースはもうやめませんか?(2) ~新ヒロイン排除同盟~ (電撃文庫)作者:旭 蓑雄発売日: 2021/03/10メディア: 文庫 「ストップ、しおりちゃん! 固有名詞は口にしちゃダメ!」茶菓上先輩は、よくわからないことを言いました。「……どうしてです?」「読…

宮澤伊織 『裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT』 (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック6 Tは寺生まれのT (ハヤカワ文庫JA)作者:宮澤 伊織発売日: 2021/03/17メディア: Kindle版 「鳥子ってさあ、バカではないと思うけど……ときどき極端に知性が下がるときがある気がするんだよね」「ええっ、いつ?」「今だよ!!」 私、紙越空…

三田麻央 『夢にみるのは、きみの夢』 (ガガガ文庫)

夢にみるのは、きみの夢 (ガガガ文庫 み 13-1)作者:三田 麻央発売日: 2021/04/20メディア: 文庫 私は、いつのまにかナオに恋をしてしまっていた。でも、ナオを想うこの気持ちの中には焦りと困惑がぎっしりと詰まっている。……こういう気持ちって、もっと楽し…

佐藤悪糖 『君が笑うまで死ぬのをやめない 雨城町デッドデッド』 (講談社タイガ)

君が笑うまで死ぬのをやめない 雨城町デッドデッド (講談社タイガ)作者:佐藤 悪糖発売日: 2021/02/16メディア: 文庫 私の手を握ったサンタクロースは、ニコリとも笑わなかった。彼女の手は震えていた。「これから君は、自分の手で犠牲にするものを選ばなけれ…

紅玉ふくろう 『チヨダク王国ジャッジメント 姉と俺とで異世界最高裁判所』 (MF文庫J)

チヨダク王国ジャッジメント 姉と俺とで異世界最高裁判所 (MF文庫J)作者:紅玉 ふくろう発売日: 2021/03/25メディア: 文庫 「……昔は、良かった……」俯き、呟く。「ただ、敵を倒していれば良かった。次は、もっと強い敵を。さらにもっと強い敵を、倒す。ゴール…

駿馬京 『インフルエンス・インシデント Case:01 男の娘配信者・神村まゆの場合』 (電撃文庫)

インフルエンス・インシデント Case:01 男の娘配信者・神村まゆの場合 (電撃文庫)作者:駿馬 京発売日: 2021/03/10メディア: 文庫 知りたかったのだ。人々がインターネットの匿名性を利用して、他者を攻撃する理由を。匿名の第三者に攻撃された当事者が立ち直…

谷山走太 『負けるための甲子園』 (実業之日本社文庫GROW)

負けるための甲子園 (実業之日本社文庫GROW)作者:谷山 走太発売日: 2021/04/16メディア: Kindle版 あのとき、甲子園の決勝であとアウト一つというところで啓人が投げたのは、ど真ん中の棒球。つまりは、わざと打たれたのだ。誰からも称賛されることはないだ…